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「QUADRANGULUM #1」TALK SESSION

2021年9月29日(水)高田馬場AREAにて開催される、 ARTiCLEAR PRESENTS 4MAN EVENT「QUADRANGULUM #1」に先駆け、出演バンドのヴォーカリスト4人に、イベントに向けた各々の想いを赤裸々に語っていただきました。

【CAST】

儿 ARTiCLEAR

苑 運命交差点 / 摩天楼オペラ

yuya Develop One's Faculties

平一洋 3470.mon

 

ーーさて。このたびはARTiCLEARが主催するイべント[QUADRANGULUM #1]に参加されるヴォーカリストの方々にお集まりいただいたわけですが、まずはオーガナイザーである儿さんから、この対談の場を設けられた主旨についてお話をいただけますでしょうか?

 

儿:今回は9月29日に高田馬場AREAでARTiCLEARが主催するかたちで、4マンイべント[QUADRANGULUM #1]をやることになったわけなんですけど、どうしても昨今のイべントってお客さんたちが目当てのバンドのみを楽しむようなところもわりとあると思うんですよ。でも、僕らとしてはあくまでもこのイべントを“ひとつもの”として作っていきたいと思っているので、ここは当日に向けてそれぞれヴォーカルの方々に声を掛けさせていただきまして、実際のイべントの前にまずはこの4人でのトークセッションをすることになりました。というのも、今この時代って音楽をやるうえでバンドっていうかたちはかなり非合理的だと僕は思っているんですよ。作曲ツールだったりとか、配信方法だったりとか、今はいくらでもあるわけですからね。その方がコストもかからないし、ラクだし。

 

ーーこのコロナ禍が勃発してからは、よりバンドが身動きを取りにくくなったところもありそうです。

 

儿:でも、ここに集まってくれているみんなはそれでもここまでにずっと長いことバンドをやって来て、バンドっていうものの魅力を深く理解したうえで、バンドじゃないと表現出来ないことっていうのをやって来ている4人だと思うんですね。しかも、この4者はそれぞれにメッセージ性の強い世界を持っているヴォーカリストたちでもあるので、今日は一緒に話せることをとても楽しみにしてました。みなさん、来ていただいて本当にありがとうございます。よろしくお願いします。

 

平・yuya・苑:よろしくお願いします!

 

ーーではまず、3470.mon(サヨナラマンデー)の平さんにおうかがいしましょう。このたびARTiCLEAR側からのオファーがあった際、どのような心持ちで受け止められたのかを教えてください。

 

平:俺、儿くんとは付き合いけっこう長いし、ヴォーカリストとしても大好きなんすけどね。とにかく、こういう今のいろいろとやり辛い世の中で、ちゃんとひとつのイべントに対してこんなにかっちりとお客さんたちのことも、演者側のことも考えたうえで開催するっていう姿勢が、凄く素敵だなって思いました。

 

ーー次に、Develop One's Facultiesのyuyaさん。このたびARTiCLEAR側からの[QUADRANGULUM #1]に関するオファーがあった際に、どのようなことを感じられたのでしょうか。

 

yuya:誘っていただいた時はもちろん凄く嬉しかったですし、面白そうなイべントだなとも思いましたね。ただ、ちょっと「うちらでいいんかな?!」みたいなのはありました。これまではそんなにARTiCLEARさんと深いカラミがあったわけでもなかった中で、他にもっと親密な関係のアーティストもきっといっぱいいると思うんですけど、それなのに誘ってもらえたのが嬉しくて。僕はヴォーカリストと言ってもギター&ヴォーカルですし、うちはバンドとして見た時にわりと取っ付きにくい方だと思うんですよ。それは、サウンド的にっていうより在り方として。だから、あんまりイべントとかに呼んでいただけることって少ないんです。かといって、何か自発的に自分らで主催を打ったりとかも全然しないバンドなので(苦笑)、気付いたらそのまま始動から7年間経っていた感じなんですよ。そういう意味では、今回は素直にこうして誘っていただけたことが凄く嬉しいです。なおかつ、こんな素敵なトークセッションまで開いていただいたわけでね。さっき、てんさん(平氏)も言っていたように、主催者側のこのイべントに対しての深い思い入れというのを感じるので、自分も当日は本気で最強のパンチを打ち込んで行こうと思ってます。

 

ーー運命交差点の苑さんは、儿さんから今回のオファーがあった際にどのような印象を持たれましたか。

 

苑:そもそも、運命交差点に対するイべントのオファーというの自体これが初めてのことだったんですよ。運命交差点は、摩天楼オペラのスケジュールが空いたところに無理やりねじ込むようなかたちで、かなり不定期な活動をして来ているというのが理由としては大きいんだと思うんですけどね(笑)。つまり、これは儿くんだからこそ誘ってくれたイべントだなって思うんですよ。そこが、僕としてはとてもありがたかったです。話をもらった時点では、まだどんな内容のイべントかは見えていなかったんですけど、どんなかたちのものであれ出演したいなと思ってすぐOKしました。

 

ーーちなみに。平さん、yuyaさん、苑さんはそれぞれ儿さんとは現段階で何年くらいのお付き合いになるのかを教えていただいてもよろしいでしょうか。

 

平:儿くんがNEGAをやってた頃からって考えたら、どのくらいなんだろ?

 

儿:多分、純粋に“出会った”っていうことだけで言ったらここにいるみんなとは10年くらいにはなってると思います。苑さん、平さんなんかはそれ以上だし(笑)。ちゃんと話したことはなかったにせよ、タイバンしたことがあるっていうだけだったらyuyaくんとも10年は経ってますよね?

 

yuya:そうですね、もうそのくらいだと思います。プライベートで遊んだりしたことはないんですけど。

 

儿:逆に言うと、僕がプライベートで呑みに行ったりしてるのは苑さんくらいかな。

 

平:それは寂しいね(笑)

 

yuya:うん、寂しい(笑)

 

儿:そういえば、これは俺もビックリした話なんですけど、平さんが今やってる3470.monのベーシストのRENA(CRAZY PUNK KID)は前に僕がやってたTHE BLACK SWANのメンバーで、しかも最近はyuyaくんと物凄く仲が良いみたいで。それって、何時からだったんですか?

 

yuya:出会ってからは、まだ全然そんなに長くないんですよ。だけど、彼からは凄い勉強させてもらったことがあって。それは人付き合いって長さとかよりも中味なんだな、っていうことでね。感覚としては、既に10年以上一緒にいるんじゃないか?っていうぐらいの仲です(笑)

 

儿:えーっ、もうそんな感じなんですねぇ。

 

yuya:最初は、R指定の七星さんのイべントで僕とRENAくんがゲストヴォーカルとして一緒に出たことがあって、そこで初めて出会ったんですよ。

 

ーー調べてみましたところ、2021.4.6(火)高田馬場AREAにて開催された[七星生誕 gives SPECIAL LIVE【Revenge the 帝王切開】]がその初共演であったようです。

 

yuya:そっか。あれからまだ半年も経ってないんですもんね(笑)

 

儿:そして、苑さんと僕に関してはちょいちょい呑みに行く関係がわりと長く続いてます(笑)

 

苑:思い出したように、1年に1度くらいのペースでね(笑)

 

ーー確か、昨春コロナ禍に突入した頃にはtwitter上で苑さんから儿さんに“#うたつなぎ”のバトンが渡ったことがありましたよね?

 

儿:あれはtwitterでのやりとりの前に、まず苑さんから僕にLINEが来たんですよ。「うたつなぎ、やってくれないかな」って。

 

苑:そうそう、送った!

 

儿:でも、正直そういうのって自分はあんまり積極的にやるタイプじゃないし、来たメッセージに既読をつけちゃうと“やんなきゃいけない”ことになっちゃいそうで(笑)、とりあえず通知だけを見て少し時間を置いてたんですね。

 

苑:スルーされてんなぁー、って思ったもん(苦笑)

 

儿:いや、スルーじゃなくて考えてたんですよ。「どうしようかな」って。それで、考えてたら苑さんは僕がこういう感じだってわかってるからなのか、気が付いたら来てたはずのメッセージが取り消されてたんです。

 

苑:だって僕、何が起こってるか全部見えちゃってたから(笑)。「あぁ、儿くんはやろうかどうか考えてるんだろうなぁ。やっぱり、悩ませちゃうのは悪いなぁ」と思ってね。だから、一旦ここはメッセージを取り消しておいて、もう少し時間が経ってからもっと遠回しに「うたつなぎみたいのって、どう思う?」くらいのところから誘ってみようとしたの。でも、そうしたらポツリと「やります」って返って来たんですよ。「なんだよ、やっぱり読んでんじゃん!」って(笑)

 

平・yuya:あははは(爆笑)

 

儿:あの時、メッセージが送られては取り消されてが2〜3回繰り返されてたじゃないですか。だから、僕もそのたびにだんだん「やろっかな」っていう気持ちになっていったんだけど、いざ画面を開くと「あれ?また取り消されてる??」って(苦笑)

 

yuya:そのやりとり、面白いっすねぇー!

 

儿:恋の駆け引きかよ、みたいな(笑)

 

ーーじれったいところが素敵です(笑)

 

儿:まぁ、当時は今以上に世の中自体も緊迫していて自粛ムードが濃くなってましたしね。ライヴも出来ないし、家からも出られない。次に何時バンド活動が出来るのかも全くわからなくて、何もやる気が起きなくなって、どうしていいかわかんなくなってずっと引き篭もってた時だったから、ああやって苑さんから“やらなきゃいけないこと”をバトンっていうかたちでもらえたのが、僕としては凄い救いになりました。せっかくだから、摩天楼オペラの曲をカバーしようということでウチのギターの樹も誘って、2人でオケを作って家で歌を録ってやったんですよ。

 

ーーなるほど、あれはそういった流れの中で実現したものだったのですか。

 

儿:自分にとっては、あのバトンが本当に良い切っ掛けになりましたね。あそこから「今の状況だったら、家の中でMVを作ってもいいかな」っていう発想も生まれたし、そこから前からやりたかったソロとしての動画もYouTubeにあげたり出来ましたから。

 

ーー作詞・作曲、REC・MIX、MV撮影・編集を全て手掛けられたJIN from ARTiCLEAR としてのMV「自戒」のことですね。

 

儿:なんか、苑さんってこの件に限らず何かとタイミングごとに良い切っ掛けをくれる存在なんですよ。ほんと、凄く感謝してます。

 

苑:いやいや、そんな。なんか、ありがとうございます(笑)

 

儿:そういう苑さんにも、今回の[QUADRANGULUM #1]には運命交差点として出ていただけるということでね。僕は心から嬉しいですし、とても楽しみにしてるんです。

 

ーーいっぽう、儿さんから見たyuyaさんというのはどのような存在感を持ったヴォーカリストなのでしょうね。

 

儿:初めてタイバンした時、彼は前にやっていたcocklobinっていうバンドのギタリストだったんですよ。でも、当時yuyaくんと話す機会はなかったから、DOFが始まってしばらく経って「あぁ、cocklobinのギターの人がギター&ヴォーカルになってるんだ」って知った時は衝撃を受けました。ヴィジュアル系って、あんまりギター&ヴォーカルの人はいないじゃないですか。

 

ーーこの界隈の特徴として、フロントマンは歌とパフォーマンスに全力を注入される方が多い傾向は相当にありますからね。

 

儿:もし、自分がギターをどんだけ上手く弾けたとしても俺はライヴでの表現での枷になってしまうと思うから、ギター&ヴォーカルっていう道は選ばないはずなんですよ。だけど、yuyaくんはギター&ヴォーカルとしての演奏だけじゃなく、パフォーマンスの面でも演技派だなって思うし、ギターを持つことを枷じゃなくて最高の武器として使ってるなぁ、っていうことを強く感じますね。観ててカッコ良いし、歌詞の世界も含めてギター&ヴォーカルっていう枠にとどまらないアーティストだなって思うし、ヴィジュアル系のシーンの中にDOFみたいなバンドがいるっていうのは凄いことだな、とも思ってます。

 

ーー3470.monを率いている平さんについても、儿さんからご覧になった印象をお聞かせくださいませ。

 

儿:平さんに関しては、もう昔っからヴォーカリストとして純粋にカッコ良いなと思ってます。そして、バックっていう言い方をするとあれですけど、所属するバンドや周りのメンバーが変わるごとにフロントマンとしての輝き方も変わってきてますからね。多分これは苑さんの運命交差点にも言えることなんですけど、平らさんが今やってる3470.monも本人の声にバンドの音が凄く合ってるなと感じるんですよ。その反面、歌詞の世界観とかはずっとブレないところがあって、相変わらず現代の状況を皮肉った上手い歌詞を書くよなぁって凄い感じます。

 

平:ちゃんと読んでくれてるんだ!嬉しいっす(笑)

 

儿:まぁ、3470.monには前に自分がやってたバンドのベーシストもいますしね。僕としては、どうしても「負けてられないな!」っていう気持ちもありますよ(笑)

 

ーー逆に、儿さんに対して平さんはどのような見解をお持ちでいらしゃいます?

 

平:儿くんのことはNEGAの頃から知ってて、当時も別名バンドとしてPERESTROIKAをやってたりしたこともあったし、その後の活動とかもありつつで、基本的に表現の方向性としては真っ直ぐにブレてない気がするんだけど、今のARTiCLEARに関してはちょっとお洒落になったイメージがあるかなぁ。音は激しいんだけど、小洒落た雰囲気がするっていうか。それは良い意味でね。

 

ーーモダンな色合いが加わったところはあるように思います。

 

平:そうそう。「あぁ、儿くんこういう感じもやるんだなぁ」って思って。あの、言葉で表すのがヘタクソですいません(笑)。でも、ARTiCLEARに関しては「儿くんは、最終的に自分の人生の中でこういう音楽をやっていくって決めたんだな」っていうことを方向性として感じたりもしましたね。あと、これは全然これまでの話とは関係ないことなんですけどいいですか?儿くんからたまにヘンなLINEが来て、なんか写真と一緒に「これ、てんてんさんっぼくないですか?」みたいなこと言ってきてくれたりするから、俺も儿くんともっと仲良くなりたいなっていう気持ちがあるんでライヴに行くわけですよ。だけど、その場になると全然話かけられないんです。そういうところがまた、俺は「儿くんって凄いじゃん!」って思うんですよね。

 

ーーそれはつまり、儿さんが近寄り難いような空気感を発しているということなのでしょうかね。

 

平:うん。俺なんかは、ライヴが終わっちゃえばすぐ「おーい、お疲れ!」ってなれるんですよ。でも、儿くんって楽屋ですげー研ぎ澄ました感じになるよね?!

 

yuya:えー、そうなんだ(笑)

 

平:ライヴを観てても、だいぶ「そこまで行く??」っていうところまで行っちゃう人だからさ。それも凄いし、終わった後でも彼の回りには見えるんですよ。触れちゃいけない領域みたいなのが。それって、俺はけっこう羨ましくて。俺は関係者とかゲストとか来てると、疲れててもヘンに気を遣って挨拶とかしちゃうんですね。それに比べると、儿くんのあの感じはかっけー!って思うんだよなぁ。ステージが終わった後にも、ちゃんとカリスマティック余韻を漂わせてるヴォーカリストって憧れますね。

 

儿:へぇー、そんな風に感じてたんだ(笑)

 

平:こっちとしては普通に仲良しだと思ってるんだけど、ライヴの現場では途端に「あれ?俺たち友だちだったよね…?!」って思わせるくらいのあの感じ。ほんと、これは良い意味でね。だから、そういう儿くんに誘ってもらったのが僕は本当に嬉しかったんです。

 

ーーyuyaさんは、儿さんやARTiCLEARについてどのようなイメージを持っていらっしゃいますか?

 

yuya:儿さんやARTiCLEARに対して、というよりはですね。これは今回のイべントに出る4バンドに対してトータルで感じてることなんですけど、ちょっとその話をここでしてもいいですか?

 

ーーどうぞ、お願いいたします。

 

yuya:この[QUADRANGULUM #1]に出る4者って、それぞれの出してるバンドサウンドが全くリファレンスのきかないものだと思うんですよ。どのバンドの音も比べられる何かが無いし、よく使われる言葉ではあるけどオリジナリティを持っているというか。もちろん、そのフロントに立っているヴォーカリストもリプレースがきかない存在であるという。声質やステージのパフォーマンスだったり、それぞれに個性的な自分をしっかり持っているのがこの4人だと僕は感じてます。まだ、僕は苑さんがライヴで歌っているところを見させてもらってことはないんですけね。でも、楽曲を聴かせてもらった段階で既にその個性は凄く感じてますから。ほんと、今回のイべントは今から楽しみなんですよ。

 

ーー音楽に対する志やアティテュードの部分ではきっと通ずるところもあるのでしょうけれど、ことサウンドのベクトル自体は4者4様で全く別のテイストを漂わせていらっしゃいますので、この[QUADRANGULUM #1]ではそこの奥深さも来場してくださる皆様にご堪能いただきたいところですよね。

 

yuya:結局オリジナリティって何なのか?っていうことではあるんですけど、この[QUADRANGULUM #1]を通じて“あなたにとってのオリジナリティというものを探す旅”をしてもらえたら嬉しいな、と僕は思ってます。

 

平:イべントってね。わりと混ざりやすいような演者を集めてやりがちですけど、これだけカラーの違うメンツが集まってるのって俺はむしろ好きですね(笑)

 

yuya:わかる。そう簡単には混ざり合わなさそうなイべントの方が、なんかこっちもワクワクする。「え?それってどうなっちゃうの?!」っていう、何が起きるかわかんないパルプンテ状態みたいな(笑)。今まさにその感覚を自分も楽しんでる感じです。

 

ーーさて。これだけ個性の強いヴォーカリストがここに集われているわけですからね。ここからはお互いに対して「同業者として、何か訊いてみたいこと」がありましたら、ぜひ投げ掛けあってみていただきたいのですけれど、みなさまいかがでしょう?

 

平:いっぱいあるにはあるんですけど、いざ自分から切り出すとなるとドキドキして訊きづらいっすね(笑)

 

ーーこれは余談になりますけれど、先ほどこのトークセッションが始まる前に平さんは「運命交差点とはタイバンしたくねーなー」とこぼされていましたよね(笑)

 

平:摩天楼オペラの動画は、それこそRENAちゃんの家で見て「クッソ歌うめー!」と思ってましたしね。運命交差点は運命交差点で、また摩天楼オペラとは違ってこれも凄いなと思ったから、イヤだなと思ったんですよ。こんな凄い人と一緒にやるのプレッシャーだなぁ、と思って。今ちょっと気持ちがキュッとしてます(苦笑)

 

苑:いやいや、そんな(笑)。僕は昔から平さんの曲も聴いてきたし、友だちから噂も聞いてきましたけど、とにかくどの時代のアー写も“普通じゃない”しブッ飛んでるから、何時もカッコ良いなとずっと思ってましたよ。知り合いからは「本当にステージング狂ってるよ」っていう話も聞いたことがあって、そこに関しては「羨ましい。俺もそんなこと言われるヴォーカリストになりたい」って思ったことがあるんです。

 

平:うわ、その言葉めっちゃ嬉しい!やったー(笑)

 

苑:3470.monなってからって、どんなライヴを展開していこうと考えてるんですか?知りたいです。

 

平:何時も新しいことをしたい、っていう気持ちはずっとあるんですよ。ただ、ネタや引き出しにはちょっと限界を感じてきたというのもあって、これは新しいものを取り入れようということで最近はダンスレッスンに通い始めました。

 

苑:ダンス!凄い!!

 

平:歌いながら踊るのってカッコ良いかなと思って始めたんですけど、でも全然振り付けの先生に着いていけてなくて(苦笑)。多分、このままだとあんま出来ないだろうし、すぐヤメちゃいそうな気もしてます。興味はすぐ持つんだけど、散漫になりがちなんですよ。

 

yuya:好奇心旺盛なんだろうな。

 

儿:なんか、ダンスってイイっすね。バンドのヴォーカルとしての動きって、結構もう限られてくるところがあるじゃないですか。だから、僕はフィギュアスケートとかを観たりして全く違うところから動きのヒントを取り入れたりする方が、もっと面白いことが出来るような気がしてます。ダンスも良さそうですよね。ただ、俺はカラダ凄い硬いんでなかなか難しいかもしれないです(苦笑)

 

yuya:ダンスはやってみたい、って思うよね。めっちゃ興味はあるけど、俺もカラダ硬い(苦笑)

 

苑:同じく(苦笑)

 

平:そこはね、柔軟から始まるから大丈夫だよ。まぁ、俺もまだまだそんなゴリゴリに動いたりとかは出来ないですし。ちょっとだけ、ニュアンスをライヴに加えていけたら良いなと思ってます。

 

ーー儿さんからは、何か皆さんにうかがいいたいことはあります?

 

儿:これはけっこう真面目な話にはなっちゃうんですけど。今、このヴィジュアル系というものに対してみなさんがどう感じているのかというのを訊いてみたいですね。といっても、それぞれがいわゆるいかにもヴィジュアル系!というタイプのアーティストではないと思うんですけど、一応この界隈でやっているということを前提とした時に、今のシーンに対して何か思うことってあるのかなと。何を思いながらこのシーンでやっているのか、というところをみなさんにあらためて訊いてみたいです。

 

苑:いやー、これは酒を持って来たうえで話したいやつだね(笑)

 

平:確かに!

 

yuya:そんなん、めっちゃ長くなりますよ(笑)

 

平:あるある、言いたいことは凄いあるよ。これはヴィジュアル系のみならずだけど、音楽っていうもの自体が(コロナの影響で)ガーッと下がっちゃったじゃん。おまけに、ヴィジュアル系に至っては人によって「死んだ」とまで言ってるでしょ?もちろん、もともとのヴィジュアル系っていう言葉自体がね。まずおかしいというか、特殊な成り立ちをしたジャンルではあると思うんだけど、でも俺自身は自分のことを滅茶苦茶ヴィジュアル系だと思ってるの。これからもヴィジュアル系で居続けたいしね。だけど、意外とヴィジュアル系でやってる人の中にもあんまりヴィジュアル系のことを好きか嫌いかで言ったら、なんかそんなに好きじゃないっていうタイプの人もいたりしない?

 

ーーメイクをしてパフォーマンスにも拘ってはいるけれども、ヴィジュアル系とはカテゴライズして欲しくないというタイプのアーティストも、一定数はいらっしゃるように見受けられますね。

 

平:俺も最初は、10代の頃に好きだった女の子がヴィジュアル系が好きだったからそれが切っ掛けで知ったけど、当時は「気持ち悪い!」っていう感覚がまずあったもんな。でも、そこから好きになって以降はもう「一生好き!」ってなりましたからね。自分の中に、思いっきり“刻まれる”ジャンルだと思うんです。ヴィジュアル系って。その感覚を薄めてどうするんだ?っていう気持ちがあるから、今も自分はみんなが右に行ったら左に行きたいってなるし、常に爪痕を残したい!っていう気持ちでやっていて、俺がヴィジュアル系だ!!っていう気持ちでやってるんです。

 

儿:それ、すげーイイ答えですね。

 

ーーまだヴィジュアル系という言葉が無かった頃からロックに親しんで来た人間からすると、音楽的に言えば海外のニューウェーヴやゴシックロックやポジティヴパンク、さらにはヘヴィメタルやハードロックに、国内で生まれたビートロックなどの影響をも受けながら、それまでにはなかった斬新なスタイルとパフォーマンスを追求するジャンルとして独自に進化してきたのがヴィジュアル系なのではないかなと思っているのですけれどね。半ば、この言葉は苦肉の策で生まれたものでもあったのではないでしょうか。

 

平:直訳したら“見た目系”ですもんね(笑)

 

ーーサウンドのカラーだけでは到底カテゴライズ出来なかったが故に、多くのバンドが持つ唯一の共通点であった「美的センスを大事にして装っている」様を、強引に“ヴィジュアル系”という言葉で表しだした側面はあったように感じます。

 

平:俺としては一番幅の広いジャンルだと思ってやってるけど、やってる側がが今そこを狭めちゃってるところもあるのかな?こういう言い方をすると語弊があるかもしれないけど、もしかしたら観てる側も偏見で狭めちゃってたりとかね。

 

儿:そこ、俺は凄く良くわかります。『メイクしてりゃヴィジュアル系でしょ』みたいなヤツが多いし。

 

ーーおそらく、途中でパラドクスが起きたのですよね。最初は誰もが自由でありたい、今までにはなかったことをやりたい、ということで盛り上がっていたシーンに後からヴィジュアル系という名称が付けられていった流れだったのですけれど、文化が発展していく過程の中で、ある時期を境に「○○○のようになりたい」という動機を持ち、自ら既存の型に好んで嵌っていくバンドが大増殖してしまったことにより、初期ヴィジュアル系シーンの中で育まれていたはずのフロンティア精神が失われていってしまう場面が増え、いろいろと歪みが生まれていったのではないでしょうか。

 

平:あー、なるほどなぁ。

 

yuya:なんか、難しいですよね。自分の場合は、ヴィジュアル系のこと全く詳しくないんですよ。最初はDir en greyが大好きで始めたんですけど、他は全然よくわからないまま今に至っているというか(笑)。ただ、こんなあんまり詳しくない人間がガタガタ言うのもなんですけどね。寂しいなとは思うんです。最近、久しぶりにタワレコに行ったんですがいろんなジャンルの売り場がある中で、ヴィジュアル系のコーナーは物凄く限られてて。その状態を見た時、シンプルに今のヴィジュアル系ってバンド自体も、支持してくれるお客さんも、全ての分母が減ってるんだなって感じたんですよ。

 

苑:(無言で頷く)

 

yuya:じゃあ、なんで減ってるのかっていったら…これはちょっと悪い言い方に聞こえたらアレなんですけど、減ったってことはもともとは凄くたくさんいたわけじゃないですか。その当時は、きっとさっきの話に出ていた型に嵌ってないアーティストがまだいろいろいて、「このバンドだからこそ大好き!」って感じている人たちが多くいたはずなんですよね。だけど、今はそうやってリスナー側が楽しめるアーティストの数がシンプルに減ってきてしまっているんじゃないのかな、と思います。そういう今の現状の中で、自分がヴィジュアル系でやってる理由はめちゃめちゃシンプルなんですよ。それは凄くカッコ良いことをやれてる自信があるんで、そういう俺ら見てくれて、下の子たちが「自分たちもバンドやりてー」って出て来てくれたら、絶対また良いバンドが増えるなって思うからなんです。そういうハングリー精神だけでやってます。

 

平:もう1回ジャンルを作る!くらいの気持ちでやらなきゃ駄目だもんね。

 

yuya:誰が悪いとか何が悪いとかでもなく、まずは行動を起こさないと。少なくとも、俺はそう思ってます。

 

苑:昔は僕、自分のやっていることを説明する時に「メタルとヴィジュアル系を一緒にした音楽をやってるんです」っていう言い方をよくしてたんですけど、今はもうただただ「ヴィジュアル系のバンドをやってます」という風に言うようになったんですよね。何故なら、その方がいろんな人に伝わりやすいからなんです。そもそも、僕のやっている音楽は言葉ではとても説明しきれないものですからね。それを伝えやすくするためのキーワードがヴィジュアル系なのかな、って最近はそういう解釈をしてます。大枠ではその中にいるけれども、心理的には「ヴィジュアル系の音」として十派一絡げに片付けられたくないという気持ちがありますね。独自の音を創っているわけですから。

 

yuya:まさにオリジナリティを持ってるわけですもんね!その気持ち、めっちゃ分かるっす!!

 

苑:そういう意味から行くと、ヴィジュアル系という言葉の持つ意味がだんだん変わってきているとも言えるのかも。

 

ーーより概念に近付いて来ているところがあるのでしょうね。

 

苑:たとえば、カッコ良いことをやってるバンドはヴィジュアル系の枠の中でやってようと、それ枠の外の別なところでゃっていようと、結局は世に出ていく気がするんですよ。

 

平:逆に、普通にカッコ良いロックバンドを観てて「ヴィジュアル系だな」って思うことも意外と多いですもん。化粧してるとかしてないとか関係なしに。

 

苑:あぁ、そういうこと僕もありますよ(笑)

 

ーーいずれにしても、聴く人や観る人の心をどれだけ揺らすことが出来るのか?というのが、アーティストに課せられた本分であることには間違いなさそうですね。今度の[QUADRANGULUM #1]でも、この4者がそれぞれの秘めているポテンシャルを存分に発揮してくださることを期待しております。

 

平:その昔、自分には調子こいてた時代っていうのがあって自分は選ばれし者だって疑ってなかったし、ちょっと街を歩いてたらみんなが俺のこと見てる!くらいのテンションの時があったんですよ。その頃は、タイバンするとなったら表では笑顔で接していたとしても、内心では「客を全員獲ってやる!!」ってなってたんです。でもねぇ、今は違うんですよ。周りのバンドも愛したいし、観てくれてる人のことも、俺らに興味無い人のことも、全て愛したいんですよね。今の時代はSNSとかも普及して、世の中マイナスなことが凄く増えてるじゃないですか。そんな中だからこそ、今度のイべントでは全員のことを愛したいという気持ちでやりたいな、という気持ちが自分の中では凄く強いです。

 

yuya:意気込みとかを言うのって苦手なんですよ(苦笑)。でも、今日の話を通しても当日は間違いなく面白いものになるだろうなと感じましたし、こうしてARTiCLEARに呼んでもらったことに対する感謝の気持ちも返しながら、ここからまた次に繋がっていくようなライヴといいますか、この4マンでやって良かったなって心から思ってもらえるようなイべントになれば大成功なのかなと考えてますし、そう出来るように何時も通り頑張ります!

 

苑:今回の4者って、やっている音楽の内容はそれぞれ違うんですけど、共通点があるとしたらそれは音楽に対するスタンスとしてお洒落なところがあるのかな、ってことなんですよ。そういう、4者の聴いて見て楽しませるお洒落な音楽を違う4つの色で描き出しながら、来てくれたお客さんたちに「4色とも全部が楽しかった!」って感じてもらえるような日にしたいっすね。

 

ーー最後に、儿さんからも[QUADRANGULUM #1]に向けてのお言葉をいただけますと幸いです。

 

儿:みんながここまで良いことをたくさん言ってくれてるので、あれですが(笑)。ひとつ言えるとしたらこのコロナ禍でイべントを開催すること自体に対してまずは賛否両論があると思うんですよ。もちろん、批判をする人の意見も凄くわかりますしね。不要不急って何なのかっていうことに関してもいろいろな意見はあると思うんですが、音楽が好きな人の中には生きるためにライヴが必要だっていう人もいるわけで、それは演者側だけではなく観る側にとってもライヴが生き甲斐だという人や、ライヴがあるからこそ辛い仕事を頑張れる、という人も多いと思うんです。

 

ーー音楽が必要火急なものであると感じている方たちも、世の中にはたくさんいらっしゃるはずですよ。

 

儿:もちろん、こういう状況だからこそ決められたことや感染対策はしっかりと守っていきますので、あとは本当にみんながひとつの場所に集まって、ひとつのイべントを作り上げていく中で、みんなが「この場に参加することが出来て良かったな」とお客さんたちも演者側も思えるイべントにしたい、と凄く思ってます。そこは僕もさっきの平さんの話と近くて、昔は自分のことしか考えなかったんですよ(笑)。だけど、今はみんなのことを思えるようになれたし、そう思いたい4バンドが集まったイべントなので、ぜひみなさんにも[QUADRANGULUM #1]を楽しみにしていて欲しいです。状況的に、残念ながら当日行きたくても来られない人っていうのもいるとは思うので、そういう人たちに向けた配信とかも考えていますが、やっぱりそれだけでなく今回はみんなで集まって何かを作るっていうことの意味を、再確認出来るようなイべントに出来たら良いなと思ってます。

 

取材・文◎杉江由紀